ある異常体験者の偏見 「常識」の非常識
ある異常体験者の偏見

「強大な武器を持っていた日本がなぜ中国に敗れたのか。それは偶然に負けたのではなく、負けるべくして負けたのである…」この発言にショックを覚えた著者が展開する一大論争。みずからの異常体験をもとに論理術のかぎりを尽して、日本人を条理に合う人間と合わない人間に峻別すべきことを緻密に証明してみせてくれる。文芸春秋読者賞受賞。

「常識」の非常識

根拠のない前提がいつのまにか「常識」となって、人々の考え方を拘束すると、社会の通念に従って行動しているつもりが、結果としてとんでもない非常識となる。「死守すべき一線」型思考、「勤勉な日本人」神話などなど、平成ニッポンが陥った”常識のウソ”を根本からひっくり返した「山本七平式・考えるヒント」77選。

オトンの部屋に山本七平本がたくさん積んであったので借りてきた。「面白い?」と聞いたら「あんまり面白くない」と言っていた。こんなに持っといて面白くないのかよ、と首を傾げましたが2冊読み終わってその意味がわかりました。山本七平さんはその強烈な個性、攻撃的且つ徹底的な論説で敵が多いのね。名指しでガンガン人を批判してるし。しかも説得力がとてもある。距離を置きなということでしょう。
ちなみにイザヤ・ベンダサン著「日本人とユダヤ人」はユダヤ人を騙って山本七平さんが書いていたらしくその点も敵が多い理由らしい。俺読んでたよ。

「常識」の非常識」は政治、外交ネタのエッセイ?のようなものです。(エッセイって何だ?)20年以上前のものですが視点は現在にも通じ、当時の外交問題は今と本当に変わっていなくて北朝鮮、靖国参拝、中東。時代を読む場合何が変化するかを見るのではなく何が変化しないかを見ることだそうです。ウマイコトイウヨ!

ある異常体験者の偏見」は文藝春秋誌上で繰り広げられた毎日新聞編集委員との一大論争。ある意味、往復書簡のような形を取っているのですが山本七平さんの話の方が単純に面白い。中学校時の老先生を思い出した。
面白いと書くと不謹慎なほどの戦中の過酷な体験、メディアの統制、国内世論の高揚。森達也さんの「日本国憲法」を同時に読み進めていたのもあるかもしれませんが森達也さんの言うメディア批判に通じるものがあると感じた。憲法九条について護憲の立場を取る山本七平さんのその思考法、そこに辿り着かざるを得なかった体験談が凄まじい。
最後に「誌上で大激論を展開するのって人間的で素晴らしいね」なんてノリのことを書いているんですがけんかを売られた方は辟易としていて笑けた。


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